NHKスペシャル わたしたちのこれから
第8回 「♯ 認知症社会」 ~誰もが安心して暮らすために~

                                    2017年3月26日


ナビゲーター
三宅 民夫
近江友里恵
恵 俊彰
島田 裕之 (国立長寿医療研究センター 部長(認知症予防の運動法などを研究)

(1)概要
認知症とその予備軍の人たち
2025年には、何万人?

1300万人  9人に一人   (人口1億2,000万)
65歳以上では、  3人に一人

認知症と軽度認知障害(MCI)の将来推計
~ニッポンに迫る 認知症1,300万人時代~

行方不明者 1万人 この3年で3割増加、
介護者不足 2025年には、38万人不足

認知症になる前の手立て、安心して暮らせる方策はあるのか?
「今までとは違う抜本的な取り組みを今すぐ行う必要がある」  島田 裕之さん

(2)課題・問題点

〇交通事故
      高速道路での逆走  1割は認知症の人
      免許を保有する認知症高齢者推計
                2015年  252万人
                2025年  350万人
      75歳以上の免許更新者に対する検査強化
〇救急医療
      現在、12人に一人が認知症の人
      2025年には、3~4人に一人へ
〇介護施設不足
      2025年には、
              入居できない人  62万人
              介護する人    38万人不足
      従って、介護離職者も
       2015年  +9.3万人
       2025年 10.4万人
(3)対策
     新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)があるが、
     社会全体の問題として考えていくことが肝要である。
〇MCIの改善
     フィンランド  ・週3早歩きなどの運動
             ・野菜、魚を多くとる
             ・記憶力を使うこと
       以上を実践したら、認知機能が25%アップした。

     日本のある施設  ・歩きながら数を言う運動
           3、6、9 のときに声を出す。

     早期に、社会全体で取り組む!
    
     埼玉県杉戸町
        老人の集まりの場に、看護師が参加する。
        認知症のチェックとしてではなく、病気全般をケアする目的で参加。
    
     新たに、「場」を創る     東埼玉総合病院 中野智経さん
                     企画 小泉 圭司さん
        「しあわせすぎキャバレー」  
         ホステス役  介護士、看護師
    
    「ポピュレーションアプローチ」
        認知症の方だけくるのではなく、
        みんな丸ごとまとめて面倒見ましょう!
        対象を認知症に絞ると来てくれない。
        参加率が3倍ぐらいに増えた。
   
    埼玉県幸手市
        お年寄りが自然に集まる場所に、看護師が出向いて、
        総合的な健康相談を行う。
〇海外の事例
    オランダ  在宅ケア事業所  ビュートゾルフ
          世界の看護業界が注目している会社
          コストと人材の活用方法の改革
   
    日本       介護士  看護師  ケアマネジャー
    ビュートゾルフ      全て一人でやる
               *本人ができることは本人がやる
               *散歩などは、地域のボランティアに任せる。
    結果、職員一人あたりの利用者数は、
             日本        1.7人
             ビュートゾルフ   4.2人
    オランダの全産業中、従業員満足度 第1位!
     (全てを任せられたことで、モチベーションアップ!)

(4)方向性
   虎の門病院高齢者総合診療部長  井桁 之総さん
  
   「社会の考え方をまず変えた方が良い。
    痴呆という言葉から、認知症という言葉に変わって12年目」
  
    認知症・・・認めて知る
   
   「目の前にいる人のありのままを認めてその心を知る。
    それが、認知症医療の原点だし、認知症社会に必要な考え方」

(5)将来への見通し
    認知症になっても安心して暮らせる社会
    視聴者の予測
     実現できる      38.9%
     実現できない     61.1%
    認知症になっても安心して暮らせる社会に向けて
    すでに取り組みが始まっている・・・。
   
    認知症の方による、洗車、読み聞かせ、駄菓子屋さん、市役所の会議等。

    島田 裕之さん(国立長寿医療研究センター 部長)
    「認知症になっても活躍できる場があるというのは非常に大事だし、また、認知症になられていない方は、ぜひそういう場を盛り上げる支え手になっていただきたいと思う」